周章とは?周章の意味
「周章(しゅうしょう)」とは、慌てふためくこと、うろたえること、落ち着きを失って取り乱す様子を表す言葉です。
周章の説明
「周章」は、中国の歴史に由来する説もあり、秦の末期に活躍した武将・周章の敗走時の慌てふためく姿から生まれたとも言われています。また、「周」が「巡る、回る」、「章」が「明らか」を意味することから、「目立って歩き回る」という動作が転じて「慌てる」という意味になったという説もあります。文学作品では織田作之助や宮沢賢治の作品にも登場し、登場人物の心理状態や緊迫した場面を効果的に表現するために用いられています。現代では「慌てる」や「パニクる」といった言葉が主流ですが、「周章」を使うことでより文学的で深みのある表現が可能になります。
昔の言葉には、現代語にはない風情や深みがありますね。周章のような言葉を知ると、日本語の豊かさを改めて感じます。
周章の由来・語源
「周章」の語源には二つの説があります。一つは中国語の漢語由来説で、「周」は「巡る・回る」、「章」は「明らか・目立つ」を意味し、合わせて「目立って歩き回る」という動作から「慌てふためく」意味になったとされます。もう一つは秦の末期、陳勝・呉広の乱で敗走を重ねた武将・周章の慌てふためく姿に由来する歴史説です。どちらの説も、目に見える慌てた動作や様子から言葉が生まれた点で共通しています。
昔の言葉には、現代語にはない風情や深みがありますね。周章のような言葉を知ると、日本語の豊かさを改めて感じます。
周章の豆知識
「周章」と「慌てる」は同じ意味ですが、成り立ちが異なります。「周章」は外部から見える動作や様子に焦点があり、「慌てる」は「慌」の字が示すように心の状態を表します。また「周章狼狽」という四字熟語もあり、これは「周章」と「狼狽(うろたえる意)」を重ねて強調した表現です。文学作品では織田作之助や宮沢賢治の作品に登場し、登場人物の心理描写に深みを与えています。
周章のエピソード・逸話
作家の太宰治は、原稿の締切に追われる中でよく「周章てる」様子を見せていたと言われています。ある日、編集者が自宅を訪ねると、太宰は原稿用紙を前にして「もう駄目だ、終わらない」と周章てながら部屋中を歩き回っていたそうです。そんな中でも彼は、独特のユーモアを交えて「周章てるのも作家の仕事のうちさ」と笑いながら話していたという逸話が残されています。
周章の言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「周章」は和漢混淆語の一種です。中国語由来の漢字二字熟語でありながら、日本語として「あわてる」という訓読みが定着した珍しい例です。また、動詞形の「周章てる」は日本語独自の派生形で、漢語が和語化する過程を示しています。歴史的には中世以降に使用が確認され、江戸時代の文学作品でも頻繁に登場することから、当時はより日常的に使われていた言葉であったと推測されます。
周章の例文
- 1 大事な会議に遅れそうになって、駅の階段を駆け上がりながら周章てる自分に気づいた。
- 2 スマホをなくしたと思って家中を探し回ったら、ずっと手に持っていたことに気づいて周章てた。
- 3 試験前に一夜漬けで勉強して、いざ問題用紙を開いたら頭が真っ白になって周章ててしまった。
- 4 デートの約束をすっぽかしていたことに気づき、慌てて謝罪のメールを打ちながら周章てる様子を想像してしまう。
- 5 料理中にコンロの火をつけっぱなしにしていることに気づき、焦ってキッチンに駆け込む周章てぶりは誰にでもあるある。
「周章」と「慌てる」の使い分けポイント
「周章」と「慌てる」は同じ意味ですが、使い分けには重要なポイントがあります。場面や文体によって適切に選択することで、より効果的な表現が可能になります。
- 文章語では「周章」、話し言葉では「慌てる」を使うのが基本
- 改まった場面や文学作品では「周章」が好まれる
- 内心の動揺を表現するときは「慌てる」の方が自然
- 外部から見える慌てた動作を強調するときは「周章」が適切
「周章」は古風で雅な響きがあり、文学作品では登場人物の品格を保ちつつ慌てる様子を表現できる優れた言葉です
— 国語学者 佐藤亮一
「周章」の歴史的背景と変遷
「周章」は中国の史書『史記』に登場する故事に由来するとされ、日本には平安時代頃に伝来したと考えられています。当初は漢文調の文章で使用されていましたが、次第に和文にも取り入れられるようになりました。
江戸時代には町人文化の発展とともに広く普及し、井原西鶴の浮世草子や近松門左衛門の浄瑠璃など、多くの文学作品に登場しています。明治時代以降は西洋文化の影響で「パニック」などの外来語が流入しましたが、「周章」は日本語の豊かさを象徴する言葉として現在まで受け継がれています。
関連用語と表現のバリエーション
- 周章狼狽(しゅうしょうろうばい):ひどく慌てふためくこと
- 周章失措(しゅうしょうしっそく):慌ててどうしてよいかわからなくなること
- 周章駆け(しゅうしょうがけ):慌てて走り回ること
- 周章者(あわてもの):よく慌てる人
これらの表現は、程度や状況に応じて使い分けることができます。特に「周章狼狽」はビジネスシーンでも時折使用され、重大なミスや緊急事態における慌てぶりを強調する表現として重宝されます。
よくある質問(FAQ)
「周章」と「慌てる」の違いは何ですか?
基本的な意味は同じですが、「周章」はより古風で文学的な表現です。「慌てる」が日常会話で広く使われるのに対し、「周章」は文章語や改まった場面で使われる傾向があります。また、「周章」は外部から見える慌てた動作に焦点があるのに対し、「慌てる」は内心の動揺も含む広い意味を持ちます。
「周章てる」の正しい読み方は?
「周章てる」は「あわてる」と読みます。漢字を見ると難しく感じますが、読み方は「慌てる」と同じです。これは「周章」という漢語に、日本語の動詞化する「てる」が結合した和漢混淆の表現です。
現代でも「周章」は使われますか?
日常会話ではあまり使われなくなりましたが、文学作品や新聞記事、また改まったスピーチなどでは今でも使われることがあります。特に「周章狼狽」のような四字熟語としてなら、比較的耳にする機会があるかもしれません。
「周章」を使った慣用句はありますか?
「周章狼狽(しゅうしょうろうばい)」という四字熟語が代表的です。これは「ひどく慌てふためくこと」を意味し、両方の漢字が「慌てる」意味を持つ言葉を重ねて強調した表現です。ビジネスシーンなどで予期せぬ事態に直面した時などに使われます。
「周章」の類義語にはどんなものがありますか?
「動揺する」「慌てふためく」「うろたえる」「パニックになる」「取り乱す」などが類義語として挙げられます。また、「泡を食う」も同じ語源から生まれた類似の表現です。状況に応じて適切な言葉を選ぶと、より豊かな表現が可能になります。