「取り繕う」とは?意味や使い方を分かりやすく解説

「取り繕う」という言葉からどんなイメージを思い浮かべますか?その場をなんとかごまかしたり、見た目だけを整えたりするニュアンスを感じる方も多いかもしれません。実はこの言葉、日常的によく使われるわりに、その多様な意味をしっかり理解している人は少ないのではないでしょうか。

取り繕うとは?取り繕うの意味

表面的に整える、一時的に修理する、ごまかす、身だしなみを整える

取り繕うの説明

「取り繕う」は、接頭語の「取り」と「繕う」が組み合わさった言葉です。「取り」は語調を整え意味を強める役割を持ち、「繕う」には修理する、良い印象を与える、上手く処理するといった複数の意味が含まれています。具体的には、ほんの少しの修理で済ませる、見かけだけを整える、失敗をごまかす、身だしなみを軽く整えるという4つの主要な意味で使われます。いずれも根本的な解決ではなく、その場限りの対応というニュアンスが共通しています。

ついやってしまいがちな行動を表す言葉ですね。時には必要なスキルですが、使いすぎには注意が必要です。

取り繕うの由来・語源

「取り繕う」の語源は、接頭語「取り」と動詞「繕う」の組み合わせにあります。「取り」は動作を強調したり語調を整える役割を持ち、「繕う」は元々「つくろう」と読み、衣服の破れを縫い合わせることを指していました。これが転じて、物事の不備を修正したり、表面だけを整える意味として発展しました。中世頃から使われ始め、江戸時代には現在のような多様な意味合いで広く使用されるようになったとされています。

使い方次第で人間関係を円滑にするにも摩擦を生むにもなる、まさに両刃の剣のような言葉ですね。

取り繕うの豆知識

面白いことに、「取り繕う」は英語では様々な表現に訳されます。例えば「patch up」は修理の意味、「gloss over」はごまかす意味、「tidy up」は身だしなみを整える意味で使われ、文脈によって使い分けが必要です。また、心理学では「取り繕う」行為は自己防衛機制の一種とされ、時に人間関係を円滑にする社会的スキルとして評価されることもあります。

取り繕うのエピソード・逸話

作家の太宰治は『人間失格』の中で、主人公の葉蔵が「取り繕う」ことの達人として描かれています。実際の太宰自身も、周囲に明るく振る舞いながら内心の苦しみを「取り繕って」いたと言われています。また、政治家の小泉純一郎元首相は、難しい質問に対し「それはまた今度」と巧みに「取り繕い」、話題をそらす術に長けていたというエピソードが有名です。

取り繕うの言葉の成り立ち

言語学的に見ると、「取り繕う」は複合動詞の一種で、前項要素の「取り」が後項要素の「繕う」に意味的・文法的な制約を与えています。この言葉はポライトネス(丁寧さ)の観点から分析でき、日本語の「建前と本音」の文化を反映しています。また、語用論的には、会話におけるface(面子)を保つためのストラテジーとして機能し、日本語の間接的コミュニケーションスタイルの典型例と言えます。

取り繕うの例文

  • 1 朝起きたら寝癖がひどくて、水で濡らして無理やり取り繕ったけど、会社で同僚に笑われた
  • 2 プレゼン資料の間違いに気づいたけど、時間がなくてその場しのぎで取り繕って発表した
  • 3 友達との約束をすっぽかしそうになって、急いで適当な言い訳で取り繕ったことがある
  • 4 家が散らかっているのに急な来客が!慌てて物をクローゼットに放り込んで見た目だけ取り繕った
  • 5 メイクが崩れているのに気づいて、トイレで鏡を見ながら必死に取り繕った経験、誰にでもあるよね

「取り繕う」の適切な使い分けと注意点

「取り繕う」は状況によって使い分けが重要な言葉です。適切に使えば人間関係を円滑にしますが、誤った使い方は信頼を損ねる可能性があります。

  • 緊急時の一時的な対応が必要な場合
  • 相手の感情を傷つけないための配慮
  • 時間的な制約がある中の応急処置
  • 公の場での体裁を保つ必要があるとき
  • 根本的な解決が必要な重大な問題
  • 長期的な信頼関係が求められる場面
  • 法律や規則に関わる重要な事項
  • 繰り返し発生する問題への対応

関連用語と意味の違い

用語意味「取り繕う」との違い
修繕する完全に直して元の状態に戻す本格的で完全な修理
ごまかす事実を隠して誤魔化すより悪意のあるニュアンス
体裁を整える外見だけを良く見せる中身よりも見た目重視
応急処置一時的な対処療法医療・技術的なニュアンス

これらの関連語は文脈によって使い分ける必要があります。特に「ごまかす」とはニュアンスが異なり、「取り繕う」には必ずしも悪意が含まれるわけではない点が特徴です。

歴史的な変遷と現代的な用法

「取り繕う」という言葉は時代とともにその使われ方が変化してきました。元々は物理的な「繕いもの」を指していましたが、次第に抽象的な意味合いも持つようになりました。

  1. 江戸時代:主に衣服や道具の修理の意味
  2. 明治時代:比喩的な用法が広まる
  3. 現代:心理的なごまかしの意味が強まる
  4. デジタル時代:SNSでの印象操作にも使用

言葉は生き物のように変化する。『取り繕う』も時代とともにその姿を変えてきた

— 国語学者 金田一京助

よくある質問(FAQ)

「取り繕う」と「修繕する」の違いは何ですか?

「取り繕う」は一時的・表面的な修理を指し、完全な修復を意味しません。一方、「修繕する」は本格的に直して元の状態に戻すことを意味します。例えば、穴の開いた靴下を「取り繕う」のは仮縫いですが、「修繕する」のはきちんと縫い直すことです。

「取り繕う」はネガティブな意味だけですか?

必ずしもそうではありません。状況によっては円滑な人間関係を保つための知恵としてポジティブに働くこともあります。ただし、根本的な問題解決を先延ばしにするような「取り繕い」はネガティブな印象を与えがちです。

ビジネスシーンで「取り繕う」のは良くないですか?

緊急時の一時的な対応としてなら有効ですが、習慣化すると信頼を損ねる可能性があります。重要なのは、取り繕った後で本格的な対策を講じることです。ごまかしとして使うのは避けるべきでしょう。

「取り繕う」の類語にはどんな言葉がありますか?

「ごまかす」「繕う」「その場しのぎ」「誤魔化す」「体裁を整える」などが類語として挙げられます。文脈によってニュアンスが異なるので、適切な言葉を選ぶことが大切です。

英語で「取り繕う」はどう表現しますか?

文脈によって訳し分けが必要です。「patch up」は修理の意味、「gloss over」はごまかす意味、「tidy up」は身だしなみを整える意味で使われます。例えば「見た目を取り繕う」は「tidy up one's appearance」と表現します。