取り上げるとは?取り上げるの意味
手に取って持ち上げることを基本とし、そこから転じて意見の採用、問題の指摘、所有物の没収、権利の剥奪、税金の徴収、出産の介助など、文脈によって多様な意味を持つ日本語の動詞
取り上げるの説明
「取り上げる」は、文字通り「手に取って上に持ち上げる」という物理的な動作が原義です。例えば「受話器を取り上げる」や「落とした品物を取り上げる」といった使い方があります。しかし、現代ではむしろ比喩的な用法が主流で、特に「意見や提案を受け入れる」意味(例:市民の声を議題に取り上げる)や「特に問題として指摘する」意味(例:商品の欠陥を取り上げて批判する)で頻繁に使われています。さらに、強制的なニュアンスでは「相手の持ち物を奪う」(例:子どもからおもちゃを取り上げる)や「権利や資格を剥奪する」(例:免許を取り上げる)といった意味も持ちます。法的・公的な文脈では「税金を徴収する」意味もあり、医療分野では「出産を介助する」という全く異なる意味でも使用されます。このように、一つの言葉がこれほど多様な意味を持つのは、日本語の豊かさを感じさせますね。
こんなにたくさんの意味があるなんて、日本語って本当に深いですね!
取り上げるの由来・語源
「取り上げる」の語源は、動詞「取る」と「上げる」の複合から成り立っています。平安時代頃から使われ始めたとされ、元々は文字通り「手に取って持ち上げる」という物理的な動作を表していました。中世以降、武家社会や公的な文書で「意見を採用する」「問題として扱う」といった比喩的な用法が発達し、江戸時代には現在使われている多様な意味合いがほぼ確立しました。特に「権利を剥奪する」意味は、封建制度下での領地没収などの慣行から生まれたと言われています。
一つの言葉にこれだけの歴史と深みがあるなんて、日本語の奥深さを感じますね!
取り上げるの豆知識
面白いことに「取り上げる」は、同じ読み方で「採り上げる」と書くと「意見を採用する」意味に特化し、「奪り上げる」と書くと「無理に奪う」意味が強調されます。また、出産を意味する「取り上げる」は、助産師が赤ちゃんを「取り上げて」母親に渡す行為に由来しています。さらにビジネスシーンでは「この案件は取り上げない」という否定形で使われることが多く、これは「採用しない」「問題にしない」という意思表示として重要な役割を果たしています。
取り上げるのエピソード・逸話
作家の村上春樹氏はインタビューで、編集者から「このテーマは取り上げない方がいい」と助言されたことがあると語っています。しかし彼はその意見を却下し、結果的に『ねじまき鳥クロニクル』という代表作を生み出しました。また、政治家の小泉純一郎元首相は「郵政民営化はどうしても取り上げなければならない課題だ」と強調し、大きな政治改革を推進しました。さらにタレントの松本人志氏は、若手時代に上司から「お前の意見は取り上げる価値がない」と言われたことをバネに成功を掴んだという逸話があります。
取り上げるの言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「取り上げる」は日本語の複合動詞の典型例です。V1(取る)+V2(上げる)の構造で、V2がV1の動作の方向性や結果を指定しています。興味深いのは、この言葉が「物理的動作→抽象的意味」という意味拡張のプロセスをたどっている点です。認知言語学の観点からは、基本的な身体動作を源領域として、より抽象的な目標領域(意見採用、権利剥奪など)へとメタファー的に意味が拡張されました。また、ポライトネス理論の観点では、否定形の「取り上げない」が「拒否」を和らげる婉曲表現として機能するなど、社会的な配慮を反映した使い方も見られます。
取り上げるの例文
- 1 会議で提案したアイデアが上司に取り上げられて、やっと認められた時のあの達成感って最高ですよね
- 2 子どもがせっかく集中して遊んでいたおもちゃを、つい『ご飯の時間よ』と言って取り上げてしまったこと、ありますよね
- 3 スマホをいじりすぎていると家族に注意され、『ちょっと預かるね』と言って取り上げられるあの瞬間、誰もが経験ありますよね
- 4 飲酒運違反で免許を取り上げられた友人の話を聞くと、他人事じゃないとハッとします
- 5 テレビの討論番組で、自分の考えと全く同じ意見が専門家に取り上げられた時、すごく共感してしまいます
「取り上げる」の使い分けポイント
「取り上げる」は文脈によって意味が大きく変わる言葉です。適切に使い分けるためのポイントをまとめました。
- 肯定的な文脈(意見の採用): 「皆さんのご意見を次の会議で取り上げます」
- 否定的な文脈(問題指摘): 「この点について厳しく取り上げる必要があります」
- 強制的な文脈(没収): 「違反した場合は免許を取り上げます」
- 中立的な文脈(話題提供): 「今日は環境問題を取り上げて議論しましょう」
特にビジネスシーンでは、相手の意見を「取り上げる」と言う場合、実際に採用するかどうかは別として、まずは真摯に受け止める姿勢を示すことが重要です。
関連用語との比較
| 用語 | 意味 | 「取り上げる」との違い |
|---|---|---|
| 採用する | 実際に取り入れて実行する | 「取り上げる」は検討段階でも使用可 |
| 没収する | 権限で強制的に取り上げる | 「取り上げる」より公式で強い印象 |
| 選ぶ | 複数から選択する | 「取り上げる」は単一の対象にも使用 |
| 承認する | 正式に認める | 「取り上げる」は前段階の扱い |
言葉は生き物である。同じ「取り上げる」でも、使う人、使われる状況でその意味合いは大きく変化する。
— 金田一春彦
現代における使用頻度の変化
近年、「取り上げる」の使用頻度と意味合いには興味深い変化が見られます。デジタル時代ならではの新しい用法も登場しています。
- SNS時代の影響: 「炎上案件を取り上げるメディア」のように、話題性を重視する用法が増加
- ビジネス用語として: 「課題を取り上げる」がプロジェクト管理で頻繁に使用
- 教育現場で: 子どもの自主性尊重の観点から「取り上げる」より「預かる」を使う傾向
- 国際化の影響: 英語の pick up の直訳的使用が増え、意味の広がりが加速
特に若年層では、「話題に取り上げる」という意味合いで使われることが多く、伝統的な「没収する」という意味合いはやや薄れつつある傾向があります。
よくある質問(FAQ)
「取り上げる」と「採用する」の違いは何ですか?
「取り上げる」は単に話題や意見として扱うことを指し、必ずしも実行するとは限りません。一方「採用する」は実際に取り入れて実行することを意味します。会議で意見を取り上げても、全てが採用されるわけではないんですよ。
「子を取り上げる」という出産の意味での使い方は今でも使われますか?
現代では「出産に立ち会う」「分娩を介助する」といった表現が一般的ですが、助産師や産科医の間では伝統的な表現として「取り上げる」が使われることもあります。特に経験豊富な助産師さんが使うことが多いですね。
ビジネスメールで「取り上げる」を使う時の注意点は?
「ご意見を取り上げます」は前向きな印象ですが、「この件は取り上げません」は拒否のように聞こえる可能性があります。否定形で使う時は「検討しましたが、今回は見送らせていただきます」など、より柔らかい表現がおすすめです。
「取り上げる」の英語表現で最もよく使われるのはどれですか?
文脈によりますが、pick up(物理的に取り上げる)、adopt(意見を採用する)、confiscate(没収する)がよく使われます。ビジネスではconsider(検討する)もよく使われる便利な表現です。
子どもから物を取り上げる時の良い方法はありますか?
いきなり取り上げるのではなく、「そろそろおしまいにしようか」「代わりにこっちで遊ぼうか」と声をかけてからにすると、子どもも納得しやすいです。時間を決めて事前に伝えておくのも効果的ですね。