得手とは?得手の意味
もっとも得意とすること、特に優れた技能や能力のこと
得手の説明
「得手」は「えて」と読み、その人が特に得意とする分野や技能を指します。例えば「歌うのは得手ではない」や「人には得手不得手がある」といった使い方をします。江戸時代から使われている歴史のある言葉で、現代では「特技」や「得意分野」といった表現に近い意味合いを持っています。また、「得手に帆を揚げる」という慣用句もあり、得意なことを調子よく進める様子を表します。英語では「specialty」や「forte」などと訳され、個人の強みや特徴を表現するのに適した言葉です。
誰にでも得手不得手はあるもの。自分の得手を見つけて伸ばすことが、人生を豊かにする秘訣かもしれませんね。
得手の由来・語源
「得手」の語源は、動詞「得る(うる)」と名詞「手(て)」の組み合わせから来ています。もともと「得手」は「手に入れること」「獲得すること」を意味していましたが、中世以降に「得意な技や方法を手中に収めている」という意味に転じました。特に江戸時代には、各自が専門とする技能や特技を指す言葉として広く使われるようになり、現代の「得意分野」という意味合いが定着しました。
誰にでも得手はあるもの。自分の得意を見つけて磨くことが、人生を豊かにする秘訣かもしれませんね。
得手の豆知識
「得手」には現在では使われていない面白い意味がいくつかあります。例えば、江戸時代には「酒」の隠語として使われたり、「猿」を指す忌み言葉としても用いられていました。また「得手勝手」という表現は、自分の都合ばかりを優先するわがままな様子を表しますが、これも「得手」から派生した言葉です。さらに、戸締まりに使う「さるかぎ」のことも「得手」と呼んでいました。
得手のエピソード・逸話
プロ野球の王貞治さんは、一本足打法という独自のバッティングフォームを「得手」として確立しました。当初は周囲から奇抜な打法と批判されましたが、これを極めることで世界記録となる868本のホームランを達成。また、歌手の美空ひばりさんは、幼少期から驚異的な歌唱力を持ち、12歳で「悲しき口笛」を大ヒットさせました。彼女の「得手」である歌唱技術は、誰にも真似できない唯一無二のものとして、今もなお伝説となっています。
得手の言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「得手」は和語(やまとことば)の複合語です。「得る」と「手」という基本的な語彙の組み合わせによって、抽象的な概念を表現している点が特徴的です。この言葉は、日本語の造語法の典型例であり、具体的な動作から抽象的な能力を表す意味へと発展したメタファーの良い例です。また、「得手不得手」のような対義語的表現を形成する能力も、日本語の語彙体系の豊かさを示しています。歴史的には、室町時代から江戸時代にかけて意味の特殊化が進み、現代ではほぼ固定的な意味で使用されています。
得手の例文
- 1 会議でプレゼンは得意だけど、雑談が苦手。人には得手不得手があるよね。
- 2 料理は全然ダメだけど、片付けなら得手なんだ。これって結構あるあるじゃない?
- 3 数学は得手でも、国語の読解問題になると全然ダメ。得意不得意の差が激しくて困る。
- 4 新しいゲームを始めたら、いつの間にか得手にしていた。これが私の唯一の自慢かも。
- 5 飲み会の幹事は得手だけど、一人でお店を予約するのは緊張する。みんなそうじゃない?
「得手」と類語の使い分けポイント
「得手」には似た意味の言葉がいくつかありますが、それぞれ微妙なニュアンスの違いがあります。適切に使い分けることで、より正確な表現が可能になります。
| 言葉 | 意味 | 使用場面 | 例文 |
|---|---|---|---|
| 得手 | 特に得意な技能や分野 | 格式ばった表現、自己分析 | 計算が得手なので経理部門を希望します |
| 特技 | 特別に優れた技術 | 趣味や才能の紹介 | 彼の特技は逆立ち歩きです |
| 専売特許 | 他に真似できない独自の技術 | 強みの強調 | 説得力のある話し方が彼の専売特許だ |
| 十八番 | 最も得意とする芸や技 | 伝統芸能やパフォーマンス | 浪曲が彼の十八番です |
「得手」は比較的フォーマルな場面で使われることが多く、ビジネスシーンや自己分析の際に適しています。一方、「特技」はよりカジュアルで、趣味や個人的な能力を語る際によく用いられます。
使用時の注意点とマナー
「得手」を使う際には、いくつかの注意点があります。適切な使い方を知っておくことで、より効果的なコミュニケーションが可能になります。
- 他人の「得手」を評価する際は、謙虚な態度で。過度な賞賛は嫌味に取られる可能性があります
- 自分の「得手」を語る時は、自慢にならないように客観的事実を基に説明しましょう
- 「得手不得手」という表現は、個人差を認めるニュアンスで使うのが適切です
- フォーマルな場面では「得意」より「得手」の方が好まれる傾向があります
人の得手不得手を認め合うことが、良いチームワークの基本だ
— 松下幸之助
特にビジネスシーンでは、自分の得手をアピールする際にも、謙虚さを忘れずに。また、他人の不得手を指摘する時は、その人の得手も同時に認める配慮が大切です。
歴史的な変遷と現代での位置づけ
「得手」という言葉は、時代とともにその意味や使われ方を変化させてきました。江戸時代から現代に至るまでの変遷を知ることで、この言葉の深みを理解することができます。
- 江戸時代:職業別の技能を指す言葉として広く使用され、職人の世界で特に重視された
- 明治時代:教育制度の整備に伴い、個人の能力や適性を表す言葉として一般化
- 大正〜昭和:心理学の影響を受け、個人の資質や適性検査の概念と結びつく
- 現代:キャリア開発や自己啓発の文脈で、強みを活かす考え方として再評価されている
現代では、特にビジネスや教育の場面で「強みを活かす」という考え方が重視されるようになり、「得手」という概念が再び注目されています。自分の得手を知り、それを伸ばすことが、個人の成長やキャリア形成において重要な要素となっています。
よくある質問(FAQ)
「得手」と「得意」の違いは何ですか?
「得手」は特定の技能や分野に特化した得意さを指し、やや格式ばった表現です。一方「得意」はより広く一般的に使われ、自信があること全般を指します。例えば「計算が得手」は専門的なニュアンス、「計算が得意」は日常的な表現です。
「得手不得手」とは具体的にどういう意味ですか?
「得手不得手」は、人によって得意なことと苦手なことがあるという意味です。誰にでも向き不向きがあるということを表す表現で、「仕事には得手不得手があるから、自分に合った分野を見つけるのが大切だ」のように使います。
「得手に帆を揚げる」とはどういう意味ですか?
得意なことを調子に乗ってやりすぎる様子を表す慣用句です。良い意味でも使いますが、あまりにも得意げに振る舞う様子にやや批判的なニュアンスを含むこともあります。例えば「彼は得手に帆を揚げてしゃべりすぎた」のように使います。
「得手」はビジネスシーンで使っても大丈夫ですか?
はい、問題なく使えます。特に自己紹介や面接で自分の強みを伝える際に「私の得手は〜です」と表現すると、しっかりした印象を与えられます。ただし、日常会話では「得意」の方が自然な場合が多いです。
「得手」の反対語は何ですか?
直接的な反対語は「不得手(ふえて)」です。また「苦手」も反対の意味で使われます。「得手不得手」という表現のように、対になって使われることが多い言葉です。