鼻白むとは?鼻白むの意味
気後れしたりしり込みすること、興覚めすること
鼻白むの説明
「鼻白む」は「はなじろむ」と読み、主に二つの意味を持っています。一つは恐怖や恥ずかしさから気後れしてしまう心理状態を表し、例えば目上の人に叱られたときや失敗を指摘されたときに見せるおどおどした態度や表情を指します。もう一つの意味は、それまで興味や関心を持っていたものに対して突然興覚めしてしまうこと。面白そうだと思っていた話が実際にはつまらなかったり、期待していたイベントががっかりする内容だったときに使われます。語源は顔面蒼白から来ており、驚きやショックで血の気が引き、鼻のあたりが白くなる様子を表現していると言われています。
日常会話ではあまり使われない言葉ですが、文学的な表現として知っておくと日本語の表現の幅が広がりますね。
鼻白むの由来・語源
「鼻白む」の語源は、驚きや恐怖で血の気が引き、鼻の周辺が青白くなる様子から来ています。顔面蒼白の状態を指す「顔白む(かおじろむ)」が変化したものと言われ、特に鼻は顔の中でも皮膚が薄く血行の変化が目立ちやすい部位であることから、この表現が生まれました。江戸時代から使われていたとされるこの言葉は、身体的反応に基づいた日本の豊かな表現文化の一端を表しています。
身体感覚に根ざした日本語の表現の豊かさを感じさせる言葉ですね。
鼻白むの豆知識
「鼻白む」は現代ではやや古風な表現とされていますが、文学作品や時代劇などではよく用いられます。興味深いのは、この言葉が「気後れする」と「興覚めする」という一見相反する二つの意味を持つ点です。これは、驚きやショックから来る心理的動揺が、状況によっては萎縮にも、がっかりにもつながるという、人間の複雑な感情の機微を巧みに表現していると言えるでしょう。
鼻白むのエピソード・逸話
作家の夏目漱石は『坊っちゃん』の中で、主人公が校長の前で緊張して「鼻白む」ような場面を描いています。また、歌舞伎役者の市川團十郎は、若い頃に大きな舞台で失敗しそうになった時、観客の前で思わず「鼻白んだ」というエピソードが伝えられています。こうした有名人のエピソードからも、誰もが直面する緊張や戸惑いを表す普遍的な表現であることがわかります。
鼻白むの言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「鼻白む」は身体部位と色彩表現を組み合わせた複合動詞の典型例です。日本語には「目白押し」「手黒くなる」など、身体語と色彩語を組み合わせた表現が多く見られます。これらはメタファーとして機能し、抽象的な心理状態を具体的な身体感覚で表現する日本語の特徴を示しています。また、「白む」が「明ける」「はっきりする」という意味から転じて「青ざめる」意味を持つようになった経緯は、色彩語の意味変化の面白い事例です。
鼻白むの例文
- 1 プレゼン中に大事な資料の誤字に気づいた瞬間、思わず鼻白んで言葉に詰まってしまった
- 2 楽しみにしていた映画の続編が前作よりもつまらなくて、がっかりして鼻白んだ
- 3 上司に急に呼び出され、何かミスをしたのかと不安で鼻白みながらドアをノックした
- 4 SNSで自慢げに投稿した写真に、親しい友達からダメ出しされて少し鼻白んだ
- 5 高級レストランで注文した料理が想像よりずっと小さくて、思わず鼻白んでしまった
「鼻白む」の使い分けと注意点
「鼻白む」は微妙なニュアンスの違いで使い分ける必要がある言葉です。主に二つの意味がありますが、文脈によってどちらの意味で使われているか判断する必要があります。
- 「気後れする」意味:相手の威圧的な態度や緊張する場面で使う
- 「興覚めする」意味:期待していたものががっかりした時に使う
- 文脈から判断できない場合は、より明確な表現を使うのが無難
- 日常会話ではやや古風な印象を与える可能性がある
- 若い世代には通じない場合があるため、状況に応じて説明が必要
- ビジネスシーンでは「緊張する」「がっかりする」など具体的な表現が好まれる
関連用語と類義語
「鼻白む」にはいくつかの関連用語や類義語があります。それぞれ微妙なニュアンスの違いを理解することで、より適切な表現が選べるようになります。
| 用語 | 意味 | 違い |
|---|---|---|
| 顔面蒼白 | 実際に顔色が青ざめること | 身体的変化に重点 |
| たじたじ | 圧倒されて後ずさりすること | 動作を含む表現 |
| 興覚め | 興味が失せること | 「鼻白む」の一部の意味 |
| 気後れ | 気持ちが萎縮すること | 「鼻白む」の一部の意味 |
言葉は生き物のように変化し、時代と共にその使われ方も変わっていく。古い表現も新しい表現も、それぞれの時代を映す鏡である。
— 金田一春彦
歴史的背景と時代による変化
「鼻白む」は江戸時代から使われていたとされる比較的古い表現です。時代とともにその使われ方や認知度に変化が見られます。
- 江戸時代:文学作品や日常会話で比較的よく使用
- 明治・大正時代:文語表現として残るが口語では減少
- 現代:やや古風な表現として認識、若年層の認知度低下
現代ではSNSや若者言葉の影響で、「テンション下がる」「萎える」「ズッた」などの新しい表現が好んで使われる傾向にあります。しかし、文学作品や時代劇、また教養のある会話では、今でも「鼻白む」が使われることがあります。
よくある質問(FAQ)
「鼻白む」の正しい読み方は何ですか?
「はなじろむ」と読みます。「はなしろむ」ではなく、濁点がつくのが正しい読み方です。アクセントは「はなじろむ」の「じろ」の部分に置かれます。
「鼻白む」と「顔面蒼白」の違いは何ですか?
「顔面蒼白」は実際に顔色が青ざめる身体的変化を指すのに対し、「鼻白む」は心理的な動揺や気後れ、興覚めといった内面的な状態を表します。必ずしも実際に顔色が変わるわけではありません。
日常会話で「鼻白む」を使うことはありますか?
現代の日常会話ではあまり使われず、どちらかと言えば文学作品や改まった文章で見かける表現です。若い世代では「テンション下がる」や「萎える」といった言葉がよく使われます。
「鼻白む」の反対語はありますか?
直接的な反対語はありませんが、反対の意味を表すなら「奮い立つ」「勇気づく」「興味が湧く」などの表現が近いでしょう。状況に応じて適切な言葉を選ぶ必要があります。
ビジネスシーンで「鼻白む」を使っても大丈夫ですか?
ビジネスシーンではあまり適しません。より分かりやすい表現として「緊張する」「気後れする」「がっかりする」など、状況に応じた適切な言葉を使うことをおすすめします。