猖獗とは?猖獗の意味
悪いものが勢いづいて広がること、はびこること。また、転覆するや失敗するという意味も含みますが、現代では主に前者の意味で使われます。
猖獗の説明
「猖獗」は「しょうけつ」と読み、悪いものや好ましくないものが勢いを増して広がっていく様子を表します。例えば、伝染病が急速に広がる状況や、犯罪組織がのさばっている状態など、抑制がきかずに拡大するネガティブな現象に使われる言葉です。それぞれの漢字には「暴れる」「たけり狂う」という意味があり、似た意味の字を重ねることで、その勢いの強さを強調しています。日常的には「猖獗を極める」という形で用いられることが多く、悪いものが頂点に達している状態を表現します。
なかなか目にしない漢字ですが、ニュースや歴史の話題で使われる機会があるので、覚えておくと表現の幅が広がりますね。
猖獗の由来・語源
「猖獗」の語源は中国の古典に遡ります。「猖」は「狂う」「暴れる」という意味で、犬偏に「昌」(さかん)と書くことから、犬が興奮して狂う様子を表しています。「獗」も同様に「たけり狂う」という意味を持ち、特に悪事を働くことに長けていることを示します。この二文字を重ねることで、悪いものが猛威を振るう状態を強く表現しているのです。元々は古代中国で、反乱や疫病が広がる様子を描写する際に用いられていた言葉でした。
難しい漢字ですが、歴史や社会の大きな流れを語る上で重要な表現ですね。覚えておくと表現の幅が広がります。
猖獗の豆知識
「猖獗」は現代では主に文章語として使用され、日常会話で使われることは稀です。特に新聞や報道では、伝染病の流行や犯罪組織の活動が活発化している状況を報道する際に用いられる傾向があります。面白いことに、この言葉は「猖獗を極める」という定型句で使われることが多く、単独で使用されることはほとんどありません。また、同じ読み方で「症結」という全く別の意味の言葉があるため、文脈から判断する必要があります。
猖獗のエピソード・逸話
作家の司馬遼太郎はその著作の中で、戦国時代の混乱した状況を描写する際に「猖獗」という言葉を効果的に使用しています。特に『国盗り物語』では、戦乱の中で野盗や無法者がはびこる様子を「猖獗を極める」と表現し、当時の社会の混乱ぶりを鮮明に描き出しました。また、歴史学者の磯田道史氏も講演で、江戸時代の疫病流行について語る際に「コレラが猖獗を極めた」と表現し、この言葉の持つ重みを現代に伝えています。
猖獗の言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「猖獗」は重畳語(ちょうじょうご)の一種です。類似した意味を持つ漢字を二つ重ねることで、意味を強調する構成となっています。このような構成は漢語によく見られる特徴で、「混乱」「暴虐」なども同様のパターンです。また、この言葉は名詞として機能しますが、「猖獗する」のようにサ変動詞としても使用可能です。現代日本語ではやや古風な印象を与えるため、改まった文章や報道文で使用される傾向があり、話し言葉ではより平易な「はびこる」「猛威を振るう」などに置き換えられることが多いです。
猖獗の例文
- 1 年末になると風邪が猖獗を極めて、オフィスの半分以上がマスク姿になるあるある
- 2 SNSでデマ情報が猖獗して、つい信じかけてしまった経験、誰にでもありますよね
- 3 新年度の忙しい時期に限って、職場で噂話が猖獗するのはなぜでしょう
- 4 梅雨時期にはカビが猖獗して、クローゼットの服までやられるのが悩みの種
- 5 締切前になると、なぜか社内でネガティブな噂が猖獗し始める現象
「猖獗」の使い分けと注意点
「猖獗」を使う際の重要なポイントは、基本的にネガティブな事象にのみ使用するということです。良いものが広がる場合には使えません。また、単独で使うよりも「猖獗を極める」という定型表現として用いられることが多いため、文脈に合わせた適切な使用が求められます。
- 悪いもの・好ましくない事象に限定して使用
- 「猖獗を極める」が最も自然な使い方
- 日常会話では「はびこる」「猛威を振るう」など平易な表現が好まれる
- 書き言葉や報道文章で効果的に使用可能
関連用語との比較
| 用語 | 読み方 | 意味の違い | 使用場面 |
|---|---|---|---|
| 猖獗 | しょうけつ | 悪いものが勢いよく広がる | 伝染病・犯罪の急激な拡大 |
| 蔓延 | まんえん | じわじわと広がる(草のイメージ) | 噂・習慣の広がり |
| 氾濫 | はんらん | 水があふれるように広がる | 情報・商品の溢れ |
| 横行 | おうこう | 我が物顔で歩き回る | 悪事・不正の広がり |
各言葉には微妙なニュアンスの違いがあり、状況に応じて適切に使い分ける必要があります。「猖獗」は特に急激で勢いのある広がりを表現する際に最も適しています。
歴史的な使用例
「猖獗」という言葉は古くから歴史書や文学作品で使用されてきました。特に戦乱や疫病の時代を描写する際に頻繁に用いられ、社会の混乱状況を表現する重要な語彙として機能してきました。
戦国時代、野盗の猖獗により、街道を行き来する旅人の安全は脅かされていた
— 司馬遼太郎『国盗り物語』
このように、歴史的な文脈では社会秩序の崩壊や無法状態の進行を表現するために「猖獗」が多用されてきた経緯があります。現代でも、パンデミックや社会問題に関する報道でこの言葉が見られるのは、こうした歴史的用法の延長線上にあると言えるでしょう。
よくある質問(FAQ)
「猖獗」の正しい読み方を教えてください
「猖獗」は「しょうけつ」と読みます。「猖」が「ショウ」、「獗」が「ケツ」という音読みになります。特に「獗」の字は日常で見かける機会が少ないため、読み間違えやすい漢字です。
「猖獗」はどんな場面で使う言葉ですか?
主に悪いものや好ましくないものが勢いよく広がる様子を表現する際に使用します。例えば、伝染病の流行、犯罪の増加、悪い噂の拡散など、ネガティブな現象が拡大している状況で用いられます。
「猖獗」と「蔓延」の違いは何ですか?
どちらも広がることを表しますが、「猖獗」は悪いものが勢いよく広がる様子を強調し、「蔓延」は草が生い茂るようにじわじわと広がるイメージです。「猖獗」の方がより激しい広がり方を示します。
「猖獗」を使った定型句はありますか?
「猖獗を極める」という表現がよく使われます。これは悪いものが頂点まで勢いを増して広がっている状態を表し、新聞や報道などでよく見かける表現です。
「猖獗」は日常会話で使えますか?
やや硬い表現なので、日常会話では「はびこる」「猛威を振るう」などの平易な表現がよく使われます。ただし、改まった場面や文章では「猖獗」が適切に使われることがあります。