まかり通るとは?まかり通るの意味
堂々と通ること、または世間に通用することを意味する表現で、特に好ましくない行動や考えがはびこる様子を指します。
まかり通るの説明
「まかり通る」は、主にネガティブな状況で使われる言葉です。例えば、自己中心的なルールや不当な主張が社会で受け入れられてしまうとき、「そんな理屈がまかり通るものか!」などと強い否定や驚きを込めて用いられます。もともと「まかる(罷る)」は謙譲語としての役割もありましたが、現代では「通る」を強調する役割が強く、語調に力が加わる特徴があります。自動詞なので目的語を取らず、「まかり通す」といった表現は一般的ではありません。歴史的には浄瑠璃などで謙譲の意味で使われたこともありますが、現在では「堂々と」という意味合いが主流です。
言葉の持つ力強さと歴史的な背景が感じられる、日本語の豊かさを象徴する表現ですね。
まかり通るの由来・語源
「まかり通る」の語源は古語の「まかる(罷る)」にあります。「罷る」は元々「行く」「来る」の謙譲語として使われていましたが、時代とともに強調の意味を持つようになりました。江戸時代の浄瑠璃『女殺油地獄』では「罷通る」が「お許しをいただいて通る」という謙譲の意味で使われています。これが転じて、現代では「堂々と通る」という強い肯定の意味に変化しました。もともとは目上の人の許しを得て行動するという意味合いが、時代とともに「大きな力に後押しされて通用する」というニュアンスへと発展したのです。
謙譲から強調へと意味が転じた日本語の豊かな表現力の好例ですね。
まかり通るの豆知識
面白いことに「まかり通る」は自動詞なので目的語を取りませんが、まれに「まかり通す」という誤用が見られます。正しくは「押し通す」や「貫く」を使います。また、この表現はネガティブな文脈で使われることが多く、特に「不正がまかり通る」「わがままがまかり通る」といった使い方が一般的です。語感的に古風な響きがあるため、現代ではやや改まった場面や強調したい時に使われる傾向があります。
まかり通るのエピソード・逸話
作家の太宰治は『人間失格』の中で「世間とは個人ではないか?まかり通る世間など存在しないのではないか?」と主人公に語らせ、社会の規範や常識に対する疑問を投げかけています。また、政治家の田中角栄は「そんなことがまかり通るなら政治など必要ない」と強気の発言をしたことで知られ、権力者らしい力強い言葉の使い方をしていました。近年ではアニメ『鬼滅の刃』で「そんな理屈がまかり通ると思うな!」というセリフが印象的に使われ、若い世代にもこの表現が広がるきっかけとなりました。
まかり通るの言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「まかり通る」は補助動詞的な用法の発達を示す好例です。「まかる」が本来の移動の意味から、他の動詞を修飾する機能を持つようになった過程は、日本語の文法化の典型例です。また、この表現はポライトネス理論の観点からも興味深く、謙譲語から強調表現へと意味が変化したことは、日本語の敬語体系の柔軟性を示しています。歴史的には室町時代から江戸時代にかけて用法が確立し、現代では主に書き言葉や格式ばった話し言葉として残っていることから、日本語の語彙の層別化の例とも言えます。
まかり通るの例文
- 1 会社でいつもサボっているあの人の言い訳がまかり通るなら、真面目に働いている私たちはバカを見ているような気分になりますよね。
- 2 電車内で大声で電話する人がいるのに注意しない空気がまかり通っていると、マナーがどんどん低下していく気がしてなりません。
- 3 SNSでデマ情報がまかり通っている現状を見ると、正しい情報を発信する大切さを痛感します。
- 4 締切を守らない人が特別扱いされるようなことがまかり通ると、組織の規律が崩れてしまうのは当然です。
- 5 自分勝手な駐車がまかり通っている地域では、住民同士のトラブルが絶えず、誰もがストレスを感じています。
「まかり通る」の使い分けと注意点
「まかり通る」を使う際には、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。この表現は強いニュアンスを持つため、適切な文脈で使わないと誤解を招く可能性があります。
- 基本的にネガティブな文脈で使用する(不正・わがまま・不当なことなど)
- 自動詞なので目的語を取らない(「まかり通す」は誤用)
- 格式ばった表現なので、カジュアルな会話では控えめに
- 強い批判や憤りの感情を表現する際に適している
- ビジネスシーンでは、問題提起や改善の必要性を訴える場面で有効
特に「まかり通す」という他動詞的な使い方は誤りです。目的語が必要な場合は「押し通す」や「貫く」を使いましょう。
関連用語と類義語
「まかり通る」と関連する言葉や、似た意味を持つ表現を理解することで、より豊かな表現が可能になります。
| 用語 | 意味 | 使い方の違い |
|---|---|---|
| はびこる | 悪いものが広く行き渡ること | より広範に広がっている状態を強調 |
| 横行する | 勝手気ままに振る舞うこと | 横暴な振る舞いが目立つ場合に使用 |
| 通用する | 広く認められること | 中立的な表現で、良いことにも悪いことにも使える |
| 罷り通る | 「まかり通る」の漢字表記 | 同じ意味だが、より格式ばった印象 |
これらの言葉を使い分けることで、微妙なニュアンスの違いを表現できます。状況に応じて適切な表現を選びましょう。
文学作品での使用例
「まかり通る」は多くの文学作品で効果的に使われてきました。作家たちはこの表現を使って、社会の矛盾や人間のエゴを鋭く描いています。
「そんな不正がまかり通る世の中なら、俺はもう人を信じられなくなる」
— 松本清張『点と線』
「貴族のわがままがまかり通るこの国に、未来などあるはずがない」
— 司馬遼太郎『坂の上の雲』
これらの作品では、「まかり通る」という表現が社会批判や登場人物の内面の葛藤を表現するのに効果的に使われています。文学作品を通じて、この言葉の持つ力強い表現力を感じ取ることができます。
よくある質問(FAQ)
「まかり通る」と「通る」の違いは何ですか?
「通る」は単に通過や承認されることを表すのに対し、「まかり通る」は本来なら通らないはずの悪いことや不当なことが、なぜか堂々と通用してしまう状況を強調して表現します。ネガティブなニュアンスが強いのが特徴です。
「まかり通る」をビジネスシーンで使っても大丈夫ですか?
格式ばった表現なので、特に改まった場面や強い懸念を表明する場合には適しています。ただし、ネガティブな意味合いが強いため、相手を直接非難するような使い方には注意が必要です。状況説明や問題提起として使うのが無難です。
「まかり通る」の反対語は何ですか?
明確な反対語はありませんが、「通用しない」「通らない」「認められない」などが反対の意味を表す表現として使えます。また、「はびこる」の反対として「排除される」「是正される」といった表現も状況に応じて使われます。
若い人でも「まかり通る」という表現を使いますか?
現代の日常会話ではあまり使われませんが、アニメや漫画、小説などで見聞きする機会はあります。特に社会問題を議論する時や、強い憤りを表現する時など、改まった文脈では年齢に関わらず使われることがあります。
「まかり通る」を英語で表現するとどうなりますか?
「be tolerated」「be accepted」「get away with」などが近い表現です。例えば「そんな言い訳は通らない」は「That excuse won't be tolerated」のように訳せます。文脈によって「prevail」や「be allowed」なども使われます。