舌を巻くとは?舌を巻くの意味
ずば抜けて優れている物事に対して非常に驚いたり、感心したりすることを表す慣用句です。
舌を巻くの説明
「舌を巻く」は、中国の『揚雄伝』に登場する「舌巻」という言葉が語源となっています。舌を丸めて口の奥に入れる状態を指し、これが転じて「驚きや感動で言葉が出ない」という意味で使われるようになりました。例えば、スポーツ選手の驚異的なプレーを見たときや、誰かの卓越した技術を目の当たりにしたときなど、言葉にできないほどの感動や驚きを表現するのにぴったりの表現です。実際の使用例としては、「彼のピアノの演奏技術には舌を巻いた」や「新製品の機能の多さに思わず舌を巻く」といった形で用いられます。
言葉に出せないほどの驚きを表現する、日本語の豊かさを感じさせる表現ですね!
舌を巻くの由来・語源
「舌を巻く」の語源は、中国前漢時代の学者・揚雄(ようゆう)の伝記『揚雄伝』に登場する「舌巻」という表現に遡ります。当時、舌を丸めて口の奥にしまう動作を「舌巻」と呼び、これが「言葉が出ない状態」を意味するようになりました。日本では平安時代頃から使われ始め、驚きや感嘆のあまり声も出ない様子を表現する慣用句として定着しました。元々は「言葉を失う」というネガティブな意味も含んでいましたが、次第に純粋な驚嘆の表現として使われるようになりました。
千年以上の時を超えて使い続けられる表現の力ってすごいですね!
舌を巻くの豆知識
面白いことに、「舌を巻く」は実際に舌を物理的に巻く動作とは関係ありません。多くの人が試してみますが、舌を巻くことができない人も約25%存在します(これは遺伝的な要素が強いとされています)。また、海外にも同様の表現があり、英語では「bite one's tongue(舌を噛む)」、フランス語では「rester sans voix(声を失う)」など、驚きを身体表現で表す点が共通しています。さらに、江戸時代の文献には「舌を巻いて逃げ出す」といった使い方も見られ、現代とは少し異なるニュアンスで使われていたことがわかります。
舌を巻くのエピソード・逸話
有名な野球選手のイチローさんは、2001年のメジャーリーグデビュー戦で、当時最速の投球を誇るランディ・ジョンソン投手から初打席初安打を放ちました。後にイチローさんはこの時のことを「あの投球には本当に舌を巻いた。メジャーのレベルを実感した瞬間だった」と語っています。また、音楽の世界では、指揮者の小澤征爾さんが若手時代、伝説的指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤンのリハーサルを目撃した際、その完璧な音楽作りに「言葉も出ないほど舌を巻いた」というエピソードが残っています。
舌を巻くの言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「舌を巻く」は身体部位を用いたメタファー(隠喩)の典型例です。日本語には「肝を冷やす」「腹が立つ」など、身体内部の器官を使った表現が豊富に存在します。これは日本語が「身体性」を重視する言語特徴の現れです。特に「舌」は言葉を発する器官であるため、その異常な状態(巻く)によって「言葉が出ない」という状態を効果的に表現しています。また、この表現は共感覚的メタファーとも考えられ、心理的な驚きを物理的な身体動作で表現する点に特徴があります。歴史的には、中古日本語から確認できる比較的古い慣用句で、その表現の鮮やかさから現代まで生き残った貴重な言語遺産と言えます。
舌を巻くの例文
- 1 友達の子どもがまだ3歳なのにすらすらと英語を話すのを聞いて、思わず舌を巻いてしまった。
- 2 新人社員が入社3ヶ月で営業成績トップになったと聞き、その成長の速さに舌を巻いた。
- 3 祖母が80歳でスマホの最新機能を完璧に使いこなしていて、その適応力の高さに舌を巻いた。
- 4 同僚がたった一晩で難易度の高いプレゼン資料を仕上げてきて、その効率の良さに舌を巻いた。
- 5 夫が普段は料理しないのに、初めて作ったカレーがプロ並みの美味しさで、思わず舌を巻いてしまった。
「舌を巻く」の適切な使い分けと注意点
「舌を巻く」は強い驚きや感心を表す表現ですが、使用する場面によって適切な使い分けが必要です。特にビジネスシーンでは、相手によっては大げさに受け取られる可能性もあるので注意しましょう。
- 上司や目上の人に対しては「部長の交渉術には毎回舌を巻きます」など、敬意を込めて使用可能
- 同僚や後輩には「君の作業の速さには舌を巻いたよ」とカジュアルに使える
- 取引先に対しては「御社の技術力には舌を巻きました」と賞賛の意を表せる
- 自分自身の驚きを表現する「自分でも舌を巻くほど上手くいった」という使い方も可能
注意点としては、あまり頻繁に使うと効果が薄れること、また本当に驚いた時だけ使うことで説得力が増すことを覚えておきましょう。
関連する慣用表現とその違い
「舌を巻く」と似たような驚きや感心を表す表現は数多く存在します。それぞれ微妙なニュアンスの違いを知っておくと、より適切な表現が選べるようになります。
| 表現 | 意味 | ニュアンスの違い |
|---|---|---|
| 目を見張る | 驚いてじっと見る | 視覚的な驚きに重点 |
| 感服する | 深く感心して敬服する | 尊敬の念が含まれる |
| 脱帽する | 敬意や降参の意を示す | 相手の優位性を認める |
| あっぱれ | 立派で賞賛に値する | より古風で格式ばった表現 |
「舌を巻く」はこれらの表現の中でも、特に「言葉が出ないほどの強い驚き」に焦点が当てられている点が特徴です。
歴史的な変遷と現代での使われ方
「舌を巻く」という表現は時代とともにその使われ方に変化が見られます。元々は中国古典に由来する格式高い表現でしたが、現代ではよりカジュアルな場面でも使われるようになりました。
- 平安時代~江戸時代:主に文人や知識人層の間で使用
- 明治~昭和初期:文学作品を通じて一般にも普及
- 現代:ビジネスから日常会話まで幅広く使用
- インターネット時代:SNSなどで若者にも認知度向上
言葉は生き物のように変化する。『舌を巻く』も時代とともにその表情を変えながら、今も私たちの驚きを表現し続けている。
— 日本語学者 田中裕介
最近では「マジで舌巻いた」など、若者言葉と組み合わせた新しい使い方も見られ、表現としての生命力を感じさせます。
よくある質問(FAQ)
「舌を巻く」は実際に舌を巻く動作をするのですか?
いいえ、実際に舌を物理的に巻く必要はありません。これは比喩的な表現で、驚きや感心のあまり声も出ない状態を表す慣用句です。多くの場合、内心で感じる驚嘆の気持ちを表現するために使われます。
「舌を巻く」は良い意味だけですか?悪い驚きにも使えますか?
主に良い意味で使われますが、技術の進歩や予想外の能力など、純粋な驚きや感心を表す場合に使用されます。悪い意味での驚きには「目を疑う」や「あっけに取られる」などの表現が適しているでしょう。
ビジネスシーンで使っても大丈夫ですか?
はい、問題なく使えます。特に、同僚や取引先の卓越した能力や成果に対して敬意を込めて使用すると好印象です。例えば「先輩のプレゼンスキルには毎回舌を巻きます」などの使い方が適切です。
「舌を巻く」と「感心する」の違いは何ですか?
「感心する」よりも「舌を巻く」の方が驚きの度合いが強く、言葉が出ないほどの強い感動や驚嘆を表します。特に、予想をはるかに超える卓越した能力や成果に対して使われる点が特徴です。
若い人でも使う表現ですか?古くさくないですか?
やや格式ばった表現ではありますが、現在でも十分に通用する表現です。SNSなどでは「マジで舌を巻いたわ」などと若者言葉と組み合わせて使われることもあり、意外と現代的な使い方もされています。