面映い(おもはゆい)とは?面映い(おもはゆい)の意味
「面映い」は「おもはゆい」と読み、ほめられすぎたり好意的に評価されすぎて、きまりが悪い、てれくさいという感情を表す形容詞です。
面映い(おもはゆい)の説明
「面映い」は古語の「面映し(おもはゆし)」が変化した言葉で、「面(おも)」は顔、「映し(はゆし)」はまばゆいという意味があります。つまり、顔を合わせるとまばゆく感じられるほどに照れくさい、というニュアンスから生まれた表現です。例えば、自分では大したことないと思っていることを過剰に褒められた時や、予想外に称賛されて戸惑ってしまうような場面で使われます。悪いことをした時の気まずさとは異なり、ポジティブな評価に対する照れや戸惑いを表現する際にぴったりの言葉と言えるでしょう。
褒められて照れる気持ちをこんなに美しく表現できる日本語って素敵ですね!
面映い(おもはゆい)の由来・語源
「面映い」の語源は古語の「面映し(おもはゆし)」に遡ります。「面(おも)」は顔を意味し、「映し(はゆし)」は「映ゆ」の形容詞形で「まばゆい・輝く」という意味を持ちます。つまり文字通り「顔が輝くように映る」という原義から、他人の視線や賞賛を受けて顔が熱くなるような照れくさい感情を表現するようになりました。平安時代の文学作品にも類似の表現が見られ、古来から日本人の繊細な感情表現として受け継がれてきた言葉です。
褒められて照れるという、日本人らしい謙遜の美徳が感じられる素敵な言葉ですね。
面映い(おもはゆい)の豆知識
面映いという言葉は、現代ではあまり日常的に使われなくなったものの、時代劇や文学作品では依然として重要な表現として登場します。面白いことに、この言葉はポジティブな恥ずかしさを表す数少ない日本語の一つで、英語には直接対応する単語がありません。また、「面映い」と書いて「おもはゆい」と読むという読み方の難しさから、国語の試験や漢字検定で出題されることもあるようです。
面映い(おもはゆい)のエピソード・逸話
俳優の吉永小百合さんがインタビューで、デビュー当時に「日本の原節子」と称賛された時のエピソードを語っています。「大きな看板を背負わされたようで、とても面映い気持ちでした」と述べており、過剰な賞賛に対する謙虚さと照れが感じられるエピソードです。また、ノーベル賞受賞者の山中伸弥教授も、受賞後の記者会見で「『日本の期待』と言われると面映い思いです」と語り、大きな期待に対する謙虚な姿勢を見せています。
面映い(おもはゆい)の言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「面映い」は日本語特有の「恥の文化」を反映した感情表現です。この言葉は、個人の感情よりも他者からの視線や評価を重視する日本的な相互依存的な自己観(相互協調的自己観)を示しています。また、語構成においては、名詞「面」と形容詞「映し」の複合による造語で、日本語の複合語形成の典型的なパターンを踏襲しています。歴史的には、上代日本語から中古日本語にかけての形容詞の語形変化(ク活用からシク活用への移行)の過程も観察できる貴重な言語資料となっています。
面映い(おもはゆい)の例文
- 1 久しぶりに会った友人に『めっちゃ痩せたね!別人みたい!』と言われて、ダイエットの成果を認められて面映い気持ちになった。
- 2 仕事でちょっとしたアイデアを出しただけなのに、上司に『君の提案でプロジェクトが成功したよ』と大げさに褒められて面映かった。
- 3 SNSにアップした料理の写真に『プロみたい!』『レシピ教えて!』とコメントがたくさんついて、初心者なのに面映い思いをした。
- 4 結婚式のスピーチで、新郎から『人生の恩人です』と言われて、大したことしてないのに面映くて顔が赤くなった。
- 5 子供の授業参観で、先生に『お母さん、いつも丁寧に勉強を見てくれていますね』と褒められ、他の保護者の前で面映い気分になった。
「面映い」の使い分けと注意点
「面映い」を使う際には、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。この言葉は繊細なニュアンスを持つため、適切な文脈で使わないと意図が伝わりにくい場合があります。
- 使用場面:過剰な褒めや賞賛を受けた時のみに使用。単なる恥ずかしさとは区別
- 対象関係:目上の人からの賞賛に対して使うとより効果的
- 文体:やや改まった場面や文章向き。カジュアルな会話では「照れくさい」が自然
- 誤用注意:失敗やミスによる恥ずかしさには使用不可
特にビジネスシーンでは、取引先からの過剰な褒め言葉に対して「面映いお言葉です」などと謙遜を示すのに適しています。
文学作品での使用例
「面映い」は古典文学から現代文学まで、多くの作品で重要な感情表現として用いられてきました。作家たちはこの言葉を使って、日本人特有の謙遜や照れの感情を繊細に描写しています。
「そんなに褒められると、かえって面映い思いがする」
— 谷崎潤一郎『細雪』
「先生の過分のお言葉に、ただ面映くてなりません」
— 夏目漱石『こころ』
これらの引用からもわかるように、「面映い」は日本の文学作品において、謙虚さや慎ましさを表現する重要な語彙として確立されています。
現代における使用頻度と変化
現代の若者を中心とした会話では、「面映い」という表現は徐々に使われる機会が減ってきています。代わりに「照れくさい」「きまり悪い」といったよりカジュアルな表現が好まれる傾向があります。
| 年代 | 使用頻度 | 代替表現 |
|---|---|---|
| 60代以上 | 比較的高い | 面映い |
| 40-50代 | 中程度 | 照れくさい、面映い |
| 20-30代 | 低い | 照れる、きまずい |
| 10代 | 非常に低い | テレる、キュンとする |
しかしながら、改まった場面や文学作品、また年配の方との会話では依然として重要な表現として残っており、教養のある言葉遣いとして認識されています。
よくある質問(FAQ)
「面映い」と「恥ずかしい」の違いは何ですか?
「恥ずかしい」は失敗や欠点を自覚した時の気まずさも含みますが、「面映い」は過剰な褒められや賞賛によって生じる照れくさい気持ちに特化しています。どちらかと言えばポジティブな場面で使われることが多い言葉です。
「面映い」は日常会話でよく使われる言葉ですか?
現代の日常会話ではあまり頻繁には使われませんが、文学作品や改まった場面、また年配の方が使うことがあります。どちらかと言えばやや古風で上品な印象を与える表現です。
「面映い」の類語にはどんな言葉がありますか?
「照れくさい」「きまり悪い」「てれる」「赤面する」などが類語として挙げられます。ただし、「面映い」は特に賞賛や好意的な注目を受けた時の特有の照れを表現する点が特徴です。
「面映い」をビジネスシーンで使っても大丈夫ですか?
謙遜を示す表現としてビジネスシーンでも使用可能ですが、やや文学的で古風な印象を与える可能性があります。取引先や上司からの過剰な褒めに対して「面映い限りです」などと使うと、上品な謙遜の意を示せます。
「面映い」と「面映ゆい」はどちらが正しい表記ですか?
どちらも正しい表記です。歴史的には「面映ゆい」の方が古い形ですが、現代では「面映い」も一般的に使われています。辞書によって掲載されている表記が異なる場合もありますので、両方認識しておくと良いでしょう。