募るとは?募るの意味
物事の勢いが激しくなること、または人や物を広く集めること
募るの説明
「募る」には二つの主要な意味があります。まず一つ目は、感情や自然現象などが次第に強まっていく様子を表します。例えば「不安が募る」「寒さが募る」といった使い方です。時間の経過とともに程度が増していくニュアンスが特徴です。二つ目は、人や物を広く呼びかけて集める意味で、「ボランティアを募る」「寄付を募る」などが典型的な例です。この場合、多くの人に向けて広く募集するイメージが強く、比較的大規模な集め方を指すことが多いです。同じ漢字を使いながら、全く異なる二つの意味を持つ興味深い言葉と言えるでしょう。
感情の高まりと人の募集、一見無関係に見える二つの意味が一つの言葉に込められているのが面白いですね。日本語の深みを感じさせてくれる言葉です。
募るの由来・語源
「募る」の語源は、古語の「つの(角)」に由来するとされています。もともと「つのる」は「角のように尖って突き出る」という意味で、そこから「勢いが増す」「先鋭化する」という意味に発展しました。また、「広く呼びかけて集める」という意味では、「募」の漢字自体が「力を広く集める」という意象を持ち、中国語から輸入された意味が日本でさらに発展したと考えられています。時代とともに、感情の高まりと人的募集という、一見異なる二つの意味が一つの言葉に統合されていった経緯があります。
一つの言葉に相反する意味が共存するなんて、日本語の豊かさを感じますね。
募るの豆知識
面白いことに、「募る」は日本語ならではの多義性を持つ言葉です。英語では「intensify(強まる)」と「recruit(募集する)」という全く別の単語で表現される概念が、一つの言葉に共存しています。また、平安時代の文学では主に自然現象や感情の高まりを表すために使われていましたが、江戸時代以降、商業の発達とともに「人を集める」意味でも頻繁に使われるようになりました。現代ではIT用語として「クラウドファンディングで資金を募る」といった新しい使い方も生まれ、時代に合わせて進化し続けている言葉です。
募るのエピソード・逸話
作家の夏目漱石は『こゝろ』の中で「先生の不安は日毎に募って行った」という表現を使い、主人公の心理的葛藤を巧みに描写しました。また、実業家の松下幸之助は創業期に「よき人材を募る」ことを最重要課題とし、門戸を広く開いて才能を集めることで松下電器(現パナソニック)の基礎を築きました。近年では、女優の吉永小百合さんが東日本大震災の被災地支援で「寄付を募る」活動を積極的に行い、多くの共感を集めたエピソードも有名です。
募るの言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「募る」は日本語の動詞の中で珍しい「自他同形」の例です。つまり、同じ形で自動詞(感情が募る)と他動詞(人を募る)の両方の用法を持っています。また、この言葉は「状態変化動詞」と「行為動詞」の二つのカテゴリーに跨って機能する特徴があり、文脈によって意味が大きく変わるため、外国語話者が習得する際の難易度が高い言葉の一つです。歴史的には、上代日本語では主に自然現象の激化を表していましたが、中世以降に社会組織の発達に伴い、人的募集の意味が加わり現在の多義性が確立されました。
募るの例文
- 1 締切が近づくにつれて、焦りと不安が募るのは誰もが経験あるあるですよね。
- 2 SNSで友達の楽しそうな投稿を見るたびに、旅行に行きたい気持ちが募る今日この頃。
- 3 仕事終わりのビールが美味しい季節、帰宅時間が近づくほど飲みたい気持ちが募ります。
- 4 好きなアーティストのライブチケット抽選で、結果待ちの間は期待と緊張が募るもの。
- 5 新しいプロジェクトのメンバーを募る際、優秀な人材が集まるかどうか心配になるのは管理者あるあるです。
「募る」の使い分けポイント
「募る」を使い分ける際の重要なポイントは、文脈によって意味が大きく変わることを理解することです。特にビジネスシーンと日常会話では、同じ「募る」でもニュアンスが異なります。
- 感情表現では「〜が募る」の形で自動詞的に使用(例:不安が募る、恋しさが募る)
- 人的・物的募集では「〜を募る」の形で他動詞的に使用(例:人材を募る、資金を募る)
- 自然現象の激化を表す場合は「吹き募る」「降り募る」などの複合語で使用
- ビジネス文書では「募集する」の方がよりフォーマルな印象を与える
特に注意したいのは、感情表現と募集表現を混同しないことです。例えば「スタッフの不安を募る」という表現は誤りで、正しくは「スタッフの不安が募る」となります。
関連用語と類義語のニュアンス比較
| 用語 | 意味 | 「募る」との違い |
|---|---|---|
| 募集する | 人や物を集める | より直接的でフォーマルな表現 |
| 高まる | 程度が増す | 感情にも物理的現象にも使えるが、「募る」より一般的 |
| 募らせる | 感情を強くする | 他動詞形で、誰かの感情を意図的に強める意味 |
| 集める | 寄せ集める | より広い意味で、必ずしも「広く呼びかける」意味を含まない |
| 強める | 力を加える | 物理的・抽象的な力を増す一般的な表現 |
これらの類義語の中でも「募る」は、時間の経過とともに自然に進行するニュアンスが特徴的です。例えば「不安が高まる」よりも「不安が募る」の方が、じわじわと進行していく様子が強調されます。
歴史的変遷と現代的な用法
「募る」は時代とともに用法が変化してきた興味深い言葉です。平安時代の文学作品では主に自然現象や感情の高まりを表していましたが、江戸時代の商業発展とともに人的募集の意味が加わりました。
風の音ますます募りて、いと恐ろしげなり
— 源氏物語
現代ではIT技術の発展により、「クラウドファンディングで支援を募る」「SNSで意見を募る」といった新しい使い方も生まれています。また、心理学用語として「トラウマが募る」といった専門的な用法も見られるようになり、言葉としての応用範囲が広がり続けています。
よくある質問(FAQ)
「募る」と「募集する」の違いは何ですか?
「募る」はより広い意味を持ち、感情が強まる意味でも使えますが、「募集する」は人や物を集めることに特化した言葉です。また「募る」はやや文語的な響きがあるのに対し、「募集する」は日常的でビジネスシーンでもよく使われます。
「不安が募る」の反対語は何ですか?
「不安が和らぐ」や「安心が深まる」などが近い表現です。ただし「募る」の反対を直接表す単語はなく、文脈に応じて「収まる」「静まる」「薄れる」などの言葉で表現することが多いです。
「募る」を英語で表現するとどうなりますか?
文脈によって異なります。感情が強まる意味では「grow stronger」や「intensify」、人を集める意味では「recruit」や「call for」を使います。例えば「不安が募る」は「anxiety grows」、「寄付を募る」は「call for donations」と訳せます。
「募る」を使った慣用句や決まり文句はありますか?
「思いが募る」「恋しさが募る」「不信感が募る」など感情表現でよく使われるほか、「人材を募る」「資金を募る」などビジネス系の決まり文句もあります。また「吹き募る」のように自然現象を表す使い方も特徴的です。
「募る」は書き言葉ですか?話し言葉でも使えますか?
どちらでも使えますが、話し言葉では「どんどん強くなる」「だんだん増える」などより平易な表現が好まれる傾向があります。ただし改まった場や文学的な表現では、話し言葉でも「募る」が自然に使われます。