「付す」とは?意味や使い方を分かりやすく解説

「付す」という言葉を聞いたことはありますか?日常会話ではあまり使われないため、初めて耳にする方も多いかもしれません。しかし、「荼毘に付す」という表現なら、どこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。この記事では、知っているようで知らない「付す」の意味や使い方を詳しく解説していきます。

付すとは?付すの意味

付す(ふす)は、主に「つけ加える」「あずける」「任せる」「従う」という4つの意味を持つ言葉です。物事を追加したり、何かを託したり、判断を委ねたりする場面で使われます。

付すの説明

「付す」は多様な意味合いを持つ言葉で、文脈によって使い分けが必要です。まず「つけ加える」という意味では、資料に補足情報を追加するときなどに使われます。次に「あずける・わたす」という意味では、公式な書類や称号を授与する場面で用いられます。さらに「任せる」という意味では、重要な決定を他者に委ねる際に使用され、最後に「従う」という意味では、古い文献などで見かけることがあります。現代ではあまり使われませんが、慣用句として「一笑に付す」「驥尾に付す」など、豊かな表現を生み出しています。

日本語の奥深さを感じさせる素敵な言葉ですね。知っておくと表現の幅が広がりそうです!

付すの由来・語源

「付す」の語源は古語の「付く」に由来し、平安時代から使われてきました。「付く」が自動詞的な意味合いが強いのに対し、「付す」は他動詞として「何かを付ける」「任せる」という能動的な意味を強く持つようになりました。漢字の「付」は「人」と「寸(手の動作)」を組み合わせた会意文字で、人が手で何かを添える様子を表しています。もともと「附す」とも表記されましたが、現代では「付す」が一般的な表記として定着しています。

古風でありながら今も息づく、日本語の豊かさを感じさせる言葉ですね!

付すの豆知識

「付す」は現代ではあまり日常会話で使われませんが、官僚用語や法律文書では今でも頻繁に使用されています。特に「不問に付す」という表現は、不起訴処分やおとがめなしの決定を表す公式な表現として重要な役割を果たしています。また、「付す」を使った慣用句は故事成語に由来するものが多く、例えば「驥尾に付す」は『史記』の「蒼蠅驥尾に付して千里を致す」という故事から生まれた表現です。

付すのエピソード・逸話

作家の夏目漱石はその作品の中で「付す」を巧みに使用していました。『吾輩は猫である』では「一笑に付す」という表現を使って、人間の浅はかな行為を風刺的に描写しています。また、政治家の吉田茂元首相は戦後処理の際、「過去の過ちは水に流し、未来に付す」という発言で、過去へのこだわりを捨てて未来へ進む重要性を訴えました。この発言は当時の復興への決意を象徴する言葉として歴史に残っています。

付すの言葉の成り立ち

言語学的に見ると、「付す」はサ行変格活用の動詞であり、文語的な響きを持ちながら現代語でも機能する稀有な例です。他の動詞と複合して「~に付す」という形を取ることが多く、これは日本語の格助詞「に」の多様な用法を示す好例です。また、「付す」は尊敬語や謙譲語としても使用可能で、例えば「お引き取りに付す」のように目上の人の行動を丁寧に表現する際にも用いられます。このように、一つの動詞が多様な文法的機能を持つ点が日本語の特徴的な側面を表しています。

付すの例文

  • 1 仕事でミスをしたとき、上司が「今回は不問に付すから、次から気をつけて」と言ってくれてほっとした経験、ありますよね。
  • 2 プレゼンの資料作成で、最後に一言「ご清聴ありがとうございました」と付すのを忘れてしまい、後で冷や汗をかいたこと、誰にでもあるあるです。
  • 3 メールの文面に「お忙しいところ恐れ入りますが」と一言付すだけで、相手への印象がぐっと良くなること、実感したことありませんか?
  • 4 会議で意見が対立したとき、「この件は次回に付しましょう」と一旦保留にする提案、すごく共感できる解決策ですよね。
  • 5 提出書類に押印忘れに気づき、慌てて「追って印鑑を付します」と伝えた経験、社会人なら一度はあるあるです。

「付す」の使い分けと注意点

「付す」を使う際には、文脈によって適切な表現を選ぶことが重要です。特にビジネスシーンでは、誤用によって誤解を招く可能性があるため注意が必要です。

  • 公式文書や改まった場面では「付す」が適切ですが、日常会話では「付ける」「追加する」などより平易な表現を使いましょう
  • 「不問に付す」は「問題にしない」という強い決定を表すため、軽い気持ちで使うとトラブルの原因になります
  • 相手の行動に対して「付す」を使う場合は、尊敬語や謙譲語との組み合わせに気を付けましょう

言葉は時として刃となる。特に「付す」のような格式高い表現は、使い手の意図を如実に映し出す。

— 夏目漱石

関連用語と類義語

「付す」と関連する言葉や類義語を知ることで、より豊かな表現が可能になります。それぞれのニュアンスの違いを理解しておきましょう。

用語意味「付す」との違い
付ける一般的な添加・付属の意味日常的で広範な使用
添える主なものに従属的に追加より控えめな追加のニュアンス
付与する権利や資格を与える公的な授与に特化
委ねるすべてを任せる全面的な委任の意味合い

歴史的変遷と現代での位置づけ

「付す」は時代とともにその使われ方や頻度が変化してきました。平安時代の文語表現として誕生し、江戸時代には武士の公式文書で頻繁に用いられ、現代では法律用語や慣用句として生き残っています。

  • 明治時代の法律整備において、多くの法律用語として「付す」が採用されました
  • 戦後、公文書の口語化運動の中で使用頻度が減少しました
  • 現在では主に「不問に付す」「一笑に付す」などの慣用句として定着しています
  • IT時代においては「ファイルを添付する」など、新しい使われ方も生まれています

よくある質問(FAQ)

「付す」と「付ける」の違いは何ですか?

「付ける」が日常的で広い意味で使われるのに対し、「付す」はより格式ばった文語的な表現です。特に「任せる」「処理する」という意味合いが強く、公式文書や慣用句でよく用いられます。例えば「不問に付す」は「問題にしないでおく」という決定的なニュアンスがあります。

「付す」をビジネスメールで使っても失礼になりませんか?

失礼にはなりませんが、やや硬い印象を与える場合があります。取引先との公式な文書や重要な決定を伝える場面では適していますが、日常的な業務連絡では「添付する」「追加する」などより一般的な表現を使うのが無難です。

「付す」を使った慣用句でよく使われるものは?

「一笑に付す」(軽く笑って問題にしない)、「不問に付す」(追及しないでおく)、「炬尾に付す」(優れた人に従って成功する)などが代表的です。これらは故事成語に由来する格式高い表現で、現在でも文章語としてよく用いられます。

「付す」の否定形はどう表現しますか?

「付さない」が基本形ですが、実際には「付すことをしない」「付すに至らない」といった婉曲的な表現が好まれます。例えば「この件は検討に付さない」よりも「この件は検討の対象としない」の方が自然な現代語と言えるでしょう。

「付す」と「附す」はどちらが正しいですか?

現代では「付す」が標準的な表記です。「附す」は旧字体で、現在ではほとんど使われません。公用文や教育現場では「付す」が用いられ、新聞や書籍でもこちらが採用されるのが一般的です。どちらも意味は同じですが、現代では「付す」を使うのが無難です。